高齢の親の財産を処分する時に、気をつけたいこと
人生に寄り添う、かかりつけカウンセラー&司法書士 こたか真子です。
紅葉が、見ごろを迎える季節になりました。今日から11月スタートです。
今日のメルマガは、ある相談事例をまずご紹介したいと思います。
父の財産を相続したい
先日、40代の女性Aさんから「父の相続の件で教えて欲しい」と相談がありました。
相続財産は、父名義の土地と建物、賃貸アパートと預貯金100万円。
相続人は、母と娘3人。
相談の趣旨は、「父の財産をどう分けたらいいか?」というものでした。
なので、「財産の分け方」について、いくつかのパターンを説明しました。
でも、なんだか話が食い違っているような気がします。
15分くらい話を聞いた後で、
ところで、「お父さんはいつ亡くなられたのですか?」とお尋ねしたところ、
「え?父はまだ、生きてます」とおっしゃっいます。
私の頭の中は、「ん?どういうこと?」となりました。
なぜなら、「相続」は、人が亡くなることによって、開始するものだからです。
お父さんがご存命なら、「相続」には当てはまりません。
私:「Aさん、初めに『父の相続の件で』とおっしゃいませんでしたっけ?」
Aさん:「はい、言いました。」
私:「でも今、お父様はまだ、生きていらっしゃると?」
Aさん:「ええ、父は生きてます」
(PCの画面の向こうのAさんが首をかしげて、怪訝な表情をする)
私:「そうであれば、相続ではありませんよ。」
Aさん「そうなんですか?」
(何言ってんだコイツという表情)
私:「お父様がご存命で、お父様の財産を誰かに譲るというのであれば、
法律では、*贈与(ぞうよ)か、売買(ばいばい)になるんです。」
と説明しました(*贈与とは、財産をただであげること。売買は、時価で売ることです)。
Aさん:「えー!?でも、不動産屋さんに聞いたら、そう言われたのですが」
いやいや、それは何かの間違いですと心の中で思いながら、
一つひとつ誤解を解いていきました。
お父様とAさんのお母様とは再婚で、前妻さんとの間に2人のお子さんがおられるそうです。
(Aさんにとっては、異母兄弟になります)
お父様が亡くなると、相続人に前妻のお子さん2人が入ってきて、話し合いが複雑になるので、今のうちになんとかしておきたいと思ってのことでした。
なるほど。
Aさんがご存命のお父様の財産を母と姉妹で分けたい、と考えたことの理由が、
やっとわかりました。
さらに丁寧に詳しくお話をお聞きして、解決策を一緒に考えて、
やっとAさんにも納得してもらうことができました。
【ポイント】
相続は、人が亡くなることによって開始するものです。
生きているうちに財産を誰かに譲り渡す(処分する)のであれば、
贈与もしくは、売買(売る)になります。
高齢の親の財産を処分する時に気をつけたいこと
親が高齢になってくると、なるべくなら考えたくはないけれど、
親が亡くなったら住んでいた家はどうするのかとか、預貯金をどう分けるのかなど、
考えておいたほうがよいことが増えてきます。
Aさんのように相続人の関係が複雑(異母兄弟がいる)な場合は、なおさらです。
生前に親御さん自身で財産の処分(贈与とか売る)してもらうことも、
一つの選択肢になってきます。
その際に、気をつけておきたいことを2つだけご紹介します。
1つ目が、税金です。
例えば、父名義の不動産を長女に無償で譲り渡すことを法律では贈与と言います。
自分の財産をどのように処分するかは自由ですが、贈与すると贈与税がかかります。
今の税法では、ひとり当たり110万円までは、非課税ですが、110万円を超える部分には贈与税がかかってくるのです。
贈与税の税率は、結構高いので注意が必要です。
参考:贈与税の税率 国税庁HPより
(ただし、税法上の特例を使えば、非課税になる場合もあります)
2つ目が、意思能力があるかどうかです。
高齢になると、段々に判断する力や記録力が衰えてきたりします。
意思能力とは、法律上の意味では、「事理弁識する能力」と言われています。
例えば、身の回りのことは自分でできるけど、時々、妻のことがわからなくなるとか、
細かいお金の計算が難しくなってきたとか、
さっき言ったことを何度も繰り返すなどの症状がある場合、
法律で言う「意思能力」は、欠けると考えられるケースが多いように思います。
最終的には、主治医の判断も含めて、「意思能力」があるかどうか、慎重に検討する必要があります。
仮に、意思能力が欠ける場合は、法律行為(自分の不動産を譲り渡すなど)はできません。
生前の対策でできること
親御さんがお元気なうちに、対策しておけることはいくつかあります。
家族関係によって、ベストな対策はそれぞれですが、
一番に検討しておくとよいのは、やはり遺言書を作ることです。
遺言書の種類については、過去のメルマガで書いているので、ご参照ください。
【相談】母に遺言書を書いてもらいたいけど、どんな方法があるの?
(*ただし、この後、法律改正により、自筆証書遺言の保管制度が始まっていますので、選択肢が増えています)
うちの親の場合は、どうしたらいいんだろう?
考えなければいけないと思っているけど、親に言いだしにくい。
どうやって切り出したらいいんだろう?
そう思われた方のために、メルマガ読者様限定で30分無料相談をしています。
どうぞご利用ください。
思い込みは、なくならないからこそ
Aさんのお話を聞いて思ったのは、
どんなに気をつけていても、自分の「思い込み」を完全に外して聞いたり話したりすることは、難しいんだなということです。
白紙の状態で聞くつもりでいても、ズレることはあるし、
すれ違うこともあります。
どんな時に自分は、思い込みやすいのか
どんな思い込みのクセがあるのか
知っておくことが大事だと、あらためて感じました。
人の話を聞くプロとして、自分の心と体の状態をニュートラルに整えておきたいと思います。
今日も、最後までお読みくださり、ありがとうございました(^^)/
2022年もあと2か月!
年末までに、もう少し頻度をあげて、お役に立てる内容を配信していきたいと思います。
どうぞお楽しみに~(^^)/
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私を信頼して、サービスを受けてくださるお客さまのためにも、あらかじめ、気になる不安を明確に示しておくことは必要なこと。
「もしも」の時にどんな対応をするか、自分のなかでもイメージがついたことも大きな学びとなりました。
自分で作成した契約書が穴だらけだったことがわかりました。
何をどう直したらいいのかわかりやすく教えてくださり、ありがとうございます。
最後に作成したファイルをいただけるのもとても助かりました。
また何かあればご相談させてください。
どうぞよろしくお願いします。
複雑に絡み合った問題を丁寧にヒアリングし、理解し共感してくださり、それだけでもかなり心がほぐれ落ち着きました。
1番嬉しかったのは、今回のケースに合わせて法律を持ち出す場合のメリットとデメリットを丁寧に伝えてくださったこと。
自分の望む方向性には相応しくないこと、現状が変わらない中でも今の自分に出来ることがあることを再確認させてくださったことに心から感謝しています。
安心と勇気を頂く素晴らしい1時間でした。
こたかさんを知ったのは、同じくフリーランスをしている仲間の紹介でした。こたかさんの講座を受けてとてもすっきりした様子だったので、気になっていましたが、まだ問題が起きたわけでもなく、わたしにも必要なのかはちょっと迷うところでした。
60分で、こんがらがった状況や率直な気持ちをうまく整理してしゃべれるのか不安におもっていましたが、相談を終えたいま、得られた内容はたいへん満足でした!
事前にPDFで送った資料を見ていただき、
聞き上手なこたかさんが状況の整理を促してくださり、解決したい悩みをピンポイントで質問してくださいました。
zoomの際中にメモしきれなかったこともありましたが(しゃべるのに夢中で(^^;)、相談時の要旨をあとでメールでくださり、たいへん感謝しています。
相談を終えメモを見直すと、契約という法的な安心を得たいと思うなら、サービス内容について自分なりにも、具体化しなきゃいけないことが、見えてきました。
漠然と不安を抱えるよりも、引っ掛かっりを外していく健全なステップだと思えました。(起業に関する本では、自分の場合は法的にみるとどうなのかという情報はなかなか得られないので。)
まだ現実のトラブルが起きているわけではありませんが、大きく進んだあとよりも、まず、どっちに一歩踏み出すと安心なのか、わかった気がします。
わたしの事業は「動物とふれあいで、ひとの心がほんの少しあったかくなる、心の休憩所をつくる!」という動物介在活動のサービスなのですが、今回アドバイスをいただいたように、賃貸借契約時の細かな条件が文書化できるように、ちょこちょこと、起こりえるトラブルやそのときの責任の負担、飼養施設に希望する条件の洗い出しをやっていこうと思います。
そして、こたかさんにアドバイスいただいた中でも、特に心に響いたのは、
「解決しなくてはいけないことはもちろんあるけれど、
いま、出来ることは叶えていけば?
せっかくのチャンスなんだから」
と背中をおしてくださったことです。
正直なところ、トラブルは避けたいし、
そこでエネルギー消耗したくないというのが先だっていましたが
やっぱり、事業を実現するには、小さくてもトライしていくことも大事だし、価値があることだと気が付きました!
そして、こたかさんがわたしのユニークな夢(ヤギさんをつれて、子どもや高齢者のもとを回る)動物介在活動を魅力的な事業だとおっしゃってくださったことも、とっても嬉しかったです。
力が湧いてきました!
法解釈について士業の方からレクチャーを受けるだけなら、こんな気持ちにはなっていないと思います。
クライアントさんとの夢を共有してくださった、こたかさんだからだと思います。
今回、まだ入り口でしたが、方向性が見えたことが本当に収穫でした。
お忙しいなか、メモに起こしてくださり、ご丁寧な対応をいただき、本当にありがとうございました。
夢に向かって進みたい人が、安心して一歩踏み出すためのサービスです。
ありがとうございました。
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