濱田預士之
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【097】酒と悟り 第十四話 たとえ1憶2千万人が相手でも

2020/7/31配信


こんばんは、魂の使命を生きながら、人生そのものを楽しむ、
スピリットナビゲーターのマスターこと浜田義之です。


 



 


今週は一週間、クルマで旅をしています。


 


本日京都へ向けて走っています。


 


ブログに旅の道中の話を書いていますので、
よかったらぜひご覧ください。


 


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それからおしらせです


 


8月1日 好きなことを仕事にして生きることについて
オンライントークライブをやります。


 


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それでは今夜の本編に入りましょう。



毎週金曜日の21時にお送りする、
本当の自分・魂の本当の目覚めへと導く物語。



この「酒と悟り」の物語は、
物語の行間から深い「気づき」や「閃き」
「インスピレーション」を受け取れるように
意図して創作している【特別なお話】です。



どうぞ行間から気づきや閃きを受け取ってください。



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今夜は第十四話をお送りします。



バーのカウンターで
不思議な紳士に出会ったことをきっかけに、
男は本当の自分・真理に目覚めたい
という思いを抱きはじめました。



そして縁から男は禅の老師と出会い、
いよいよ本格的な修行をはじめました。


 


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  たとえ1憶2千万人が相手でも
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翌朝の起床は朝4時半だった。


 


外はまだ薄暗く、山奥の朝は肌寒かった。


 


障子を開けると濃い群青色の空が広がり、
天空(そら)を見上げるとまだそこには星々が瞬いていた。


 


向こうの山の稜線には朝陽が赤い帯になっていた。


 


細いその帯は明るいオレンジと紅い色がグラデーションしており、
群青色の空との間は青紫にグラデーションしていた。


 


男は洗面所に向かうと顔を洗った。


 


山の水はひんやりと冷たかった。


 


目が覚めるのを感じた。


 


鏡を見つめる男。


 


男は鏡の中の自分自身を見つめた。


 



自分は何処から来て、何処へ行くのか。


 



そんな言葉が浮かんだ。


 


男は禅堂へと向かった。


 


夜の明けきらない朝の禅堂は薄暗かった。


 


男が禅堂についたときには、
もう既にほかの参禅者は壁に向かって座り、座禅を組んでいた。


 


男は禅堂の入り口で合掌、一礼してから静かに自分の座布へと向かった。


 


一歩一歩静かに歩いた。


 


この静けさに敬意を払うように。


 


座布の前に立ち、合掌し、静かに一礼する。


 


そして背の方に向き直ると、反対側の方角にも合掌し、一礼した。


 


そうして座布に腰を下ろすと、くるりと壁に向きを変えた。


 


この瞬間だけは不思議な感触だった。


 


座禅ははじめての筈なのに、もうずっとやり慣れているような、
そんな不思議な感覚を感じた。


 


男は呼吸を整え、すうっと深い深呼吸をして、スッと心を定めた。


 


一呼吸に集中する。


 


男は入ってくる息、出ていく息に注意を払い続けた。


 


見逃さないように。


 


どのくらい時間が経ったろう。


 


ハッと気がつくと、男はまた考え事の世界にいた。


 


いつの間にか呼吸から意識が離れ、
いつの間にか考え事が始まっていたのだ。


 


男は気を取り直し、またスッと心を定めると一呼吸に意識を集中した。


 


出ていく息、入ってくる息。


 


その一呼吸一呼吸を見逃さないように、
心が離れないように、注意深く意識を集中した。


 


一呼吸....一呼吸....一呼吸......。


 


どのくらい時間がったのか。


 


まただ......。


 


男は心の中でつぶやいた。


 


またいつの間にか考え事をしていた。


 


昨日と何も変わらない。


 


気がついたら考え事の世界に連れていかれている。


 


男は朝の六時までの一時間、考え事と格闘し続けた。


 


徐々に夜は明け、気がつくと禅堂は明るくなっていた。


 


禅堂の窓からは、朝露に濡れた木々の葉が見えた。


 


鳥のさえずる声が聴こえてきた。


 


そんなときだった。


 


カン・カン・カン!


 


朝食の時間を告げる板木を叩く音が山々にこだまし、
禅堂にも聴こえてきた。


 


左腕のサブマリーナをみると6時になっていた。


 


禅堂の参禅者は各々に立ち上がり、合掌、礼をすると禅堂を出ていった。


 


彼らの背中を見届けると、男も立ち上がり、合掌、礼をして食堂へと向かった。


 


食堂につくと男は昨日と同じ席についた。


 


昨日と同じように全員が合掌し、般若心経を唱えた。


 


そして同じく食事への感謝である五観の偈(ごかんのげ)を読経した。


 


そうしてまた、あのスローモーションのような食事がはじまった。


 


なぜこんなことをするのか。


 


どんな目的、意味があるのか、いまだに男にはわからなかった。


 


どういう意味があるのですか?


なぜこんなことをするんですか?


 


そんな質問ができる空気ではなかった。


 


ただただ周りを真似て、同じように動作するだけ。


 


男にはそうする選択肢しかなかった。


 


男の最初の師が言っていたことある。


 


男がまだ20歳そこそこの頃に出会った師だ。


 


師は言っていた。


 


「本当の賢者は質問がダサいと相手してくれないものだ」


 


あまりに印象的な言葉だったので、男はよく覚えていた。


 


なぜこんな動きをするんですか?


どんな意味があるんですか?


 


そんな質問はここではするべきではないという思いが、男の脳裏にはあった。


 


そんな質問できる空気ではないのを感じていたが、
同時にそんな質問はするべきではないとも思った。


 


男は見様見真似で他の参禅者のように、ゆっくりと動こうと努めた。


 


だがその動きは昨日以上にぎこちなかった。


 


自分でも動きが硬く、ぎこちないことに気づいていた。


 


それが男の気持ちを焦らせ、更に男を緊張させ、
身体は固くなり、動きも固くしていた。


 


昨夜の老師の一喝。


 


あれが男を緊張させ、固くしていた。


 


ちゃんとしなくては。


ゆっくり動かなければ。


 


そんな言葉にならない思いが、男の余裕を奪っていた。


 


ちゃんとしなくては....でなければ....。


 


その言葉の後ろには「怒られる」


 


という言葉が続いていた。


 


何処かでそのことには気づいていた。


 


だがちゃんとしなくてはという、
言葉にならない思いにとらわれていたこの時の男には、
そこまで気づく余裕はなかった。


 


幼い頃、誰かの怒号に固まってしまった、身体が覚えていた記憶。


 


その記憶が男の身体を、動きを固くしていた。


 


だがそのことに気づく余裕も、まだこの時の男にはなかった....。


 


食事が終わると老師の法話がはじまった。


 


座禅について心得、瞑想中に起こることについての
具体的な注意をシンプルに、簡潔に、老師は話した。


 


男は注意深く老師の言葉に耳を傾けた。


 


人の話にこんなに真剣に耳を傾けるというのは、
いったいどれくらいぶりだろう?


 


それくら男は老師の一言一言に注意を払った。


 


なにを言っているのわからない言葉も多かった。


 


だが男はそのことにはとらわれなかった。


 


最初の師のもとで学んだとき、
師の言葉にはわからなものがいっぱいあった。


 


ところがしばらくすると、ある瞬間、
「あ!」と師が何を言っていたのか理解できたのを体験した。


 


聞いたときはわからなかったことが、
後になってまるで圧縮ファイルが解凍されるように
ふいにストンと腑に落ちるのを何度も体験してきた。


 


だから老師の言葉でわからないものがでてきても、
男は焦ることはなかった。


 


今はわからないものはわからない。


 


今はわからなくていい。


 


ちゃんと判るときに判るのだ。


 


だからわからないことにとらわれなくていい。


 


男は老師の言葉に耳を傾け続けた。


 


そんなときだった。


 


老師は言った。


 


「既に呼吸をしていたことに気づきなさい」


 



男は「なにを言っているのだろう?」と思った。


 


きっと奥深い知恵について話しているのだろう。


 


だがなにについて話しているのかは、今の男には計り知れなかった。


 


そのときだった、ひとりの参禅者が口を開いた。


 


「老師!わたしはわかりました!」


 


あの男だ!


 


口を開いたのは、昨日老師に一喝されたあの男性だった。


 


みると男性はニコニコしながら、自信たっぷりそうな顔をしていた。


 


だが男にはその笑顔が、ヘラヘラしているように見えた。


 


男にはこの男性が勘違いをしており、
とんちんかんなことを言っているのがすぐにわかった。


 


ハア?わかっただって?
なにを言っているんだコイツ?


 


男の中にまた、この男性への侮蔑の思いが浮かんできた。


 


老師は言った。


 


「君、そんなに軽く言うもんじゃないよ」


 


老師は笑顔だった。


 


相手に勘違いをしていること悟らせるための笑顔なのだろう。


 


だが男性は引き下がらなかった。


 


「いえ!わかりました!」


 


男は思った。


 


バカじゃないのか?コイツ?


 


頼むから、もうこれ以上空気を乱さないでくれ!


 


そんな思いが男の頭を駆け巡った。


 


怒りと侮蔑の思いとともに。


 


すると老師は言った。


 


「君ね、たとえ1億2千万人の人間が、
わたしを欺こうとしたとしてもできないんだよ」


 


男は老師のこの言葉に一瞬、大きいことを言うなと思った。


 


だがこの禅というジャンルにおいては、
老師は長年の実戦と経験、師から受け継いできた知恵に基づいた、
揺るがないものがあるのだと思った。


 


そして指導者としての重大な責任に、立場をとっての、
揺るがない一言なのだろうと思った。


 


ところがかの男性は思いもかけない言葉を言った。


 


「そうきますか!」


 


男性の挑発的ともとれる、
人を小ばかにしたような(男にはそう思えた)言葉に男は思った。


 


なに言ってるんだ、こいつ!
本当にバカじゃないのか!?


 


男は内心憤慨した。


 


蔑み、見下す思いとともに。


 


だが老師はそれ以上、その男性を相手にしなかった。


 


「まじめにやんなさい」


 


それだけ言うと老師は沈黙した。


 


食事の時間が終わると、また各々立ち上がり、禅堂へと向かった。


 


男も立ち上がった。


 


さあ、再戦だ!


 


つづく。


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