【084】酒と悟り 第七話 不思議な紳士との再会
こんばんは、魂の使命を生きながら、人生そのものを楽しむ、
スピリットナビゲーターのマスターこと浜田義之です。
毎週金曜日の21時にお送りする、
本当の自分・魂の本当の目覚めへと導く物語。
この「酒と悟り」の物語は、物語の行間から「気づき」や「閃き」
「インスピレーション」を受け取れるように意図して創っている
実は【特別なお話】です。
このお話には特別な思い入れがあります。
そしてそれは、今年2020年から始まった全く新しい時代の
生き方そのものでもあるのです。
もう昨年までと全く時代が変わったんですね。
このことについて今日、動画を録ってお話していますので、
ぜひご覧ください。
受け取るものの深さが変わることと思います。
◆動画メッセージはこちらからご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=Sg0dvvK2WVg
では、今夜は第7話をお送りします。
バーのカウンターで不思議な紳士に出会った男は、
紳士の言葉から、自分の中のなにかが目覚め始めたのを感じました。
そしてマスターとの会話から、男は頭ではわからない、
だけど自分にとっての「なによりも大切なこと」を
思い出したいという思いを抱きはじめました。
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男はなにかを探していた。
それは男の人生をこれまでずっと突き動かしてきたものだった。
だが男はまだ、自分が本当の本当に求めているものがなんなのかに、
気づくことすらできずにいた。
男の魂が本当に望んでいるもの。
それはこれから男が知っていくものなのだ。
【不思議な紳士との再会】
男はあの店のカウンターにいた。
あの不思議な初老の紳士に会いたくて、
あれから何度かこの店のカウンターに訪れていた。
だが、まだ男は紳士に会えずにいた。
店のマスターは男が店に訪れると、
男が子供の頃に好きだったものについてや、
子供の頃どんなことがあったのかについて、
関心を持って聞いてくれた。
自分のことについて、自分の人生について、
人にこんなに関心を持って聞いてもらったことがなかったので、
マスターが関心を持って聞いてくれることに、男は嬉しかった。
だけどよくみていると、
マスターは他の客にはそのようなことは聞いていないようだった。
マスターには何が見えているのだろうか?
店内にはゆったりとしたジャズのメロディが、
静かに穏やかに流れていた。
男は目の前のロックグラスを手に取ると、
ぐいとひとくち、ウィスキーを飲った。
15年物のラフロイグの、
ピートの効いたスモーキーな香りと味覚が、
男の舌にじっくりと染み渡り、豊かな香りが広がった。
そのときだった。
男は気配を感じて、思わず隣の席を振り向いた。
あの紳士だ!!!
そこには穏やかさと静けさと落着きの余韻を漂わせた、
あの紳士が座っていた。
やっと会えた!
男は心の中で叫んだ。
「あの...あれからあなたにまたお会いしたいと思っていたんです」
男は冷静に振舞おうと意識しながら、紳士に話しかけた。
男の方を向くと紳士は、にっこりと優しい笑みを浮かべた。
「迷っていらっしゃるんですね?」
え?
男は紳士の思いがけない言葉に驚いた。
この紳士はマスターから、
自分が座禅に行くかどうかを迷っていることを聞いたのだろうか?
いや、それは考えにくい。
なぜなら参禅を迷っていることは、
マスターにもまだ話していないのだから...。
「人には転機があります」
紳士は静かに語りはじめた。
「ですが本当の転機がやってきたとき、人は躊躇するものです」。
男は自分のことを言われていることに気づいて、驚いた。
「あなたもそんな経験がおありなんですか?」
男は思わず聞き返した。
「勿論ですよ(笑)」
紳士は笑顔で応えた。
「わたしは今、人生の大きな転機にいることを知っています」
「ですが同時に、今すぐでなくてもいいんじゃないか
というような気がして、決断をできずにいるのです」
男の言葉に紳士は黙って聞き入っていた。
男はつづけた。
「さきほど、本当の転機がやってきたとき、
人は躊躇するとおっしゃいましたね」
「わたしは今、それが自分のこととして聴こえています」
「わたしは躊躇しているのです」
この言葉に紳士はまたにっこりした。
「あなたは誠実な人です」
「自分が今、何を感じているのかを目を背けず感じ、
正直にそのことを打ち明ける勇気を持っていらっしゃる」
「勇気だなんてそんな!」
男は紳士の思いがけぬ言葉に思わず謙遜した。
「人は自分が本当に感じていることには
気づきたくないものです」
「その先に本当の魂の悦びがあったとしても、
みたくないものと向き合うぐらいなら、
今のままでいいと自動的に判断してしまうのです」
「そうして甘美で魅力的なものを得るのです」
意味深な言葉だと男は思った。
男は聞いた。
「甘美で魅力的なもの...とはなんですか?」
「それは...他人や社会、そして自分自身に
不平不満を言い続けられることです」
「それを人は得るのです」
!!!!
男はドキッとした。
以前なら「ふ~ん」とか
「ああ、そうそう、そういう人たちいっぱいいるよな」とか
人ごとにしか聞こえなかったであろう紳士の言葉に、男はドキッとした。
男は今自分の中で湧きおこったものから、
目を背けたい衝動が起こるのを感じた。
目を背けるな、観るときだ。
男の中にそんな思いが浮かび、逃れたい衝動との葛藤が起こった。
「あなたは...」
紳士がまた口を開いた。
「あなたは何を今、迷っていらっしゃるのですか?」
男は紳士の目を見た。
そして正直に今の自分のことを話した。
「マスターに禅の修行のことを教えてもらったのです」
「わたしは禅という言葉を聞いた瞬間から、
心がとても強く惹かれているのを感じました」
「人生の転機であることを、わたしの深いところは知っている感じです」
「ですが...」
「行くことを決めかねているんですね」
「ええ...そうです」
紳士はロックグラスを揺らしながら、
グラスの中で琥珀色の液体が小さく波打つのを眺めた。
そして静かに口を開いた。
「釈迦は自分が苦しんでいることを自覚していました」
「ゆえに王家の暮らしを、持っているもののすべてを捨て、
苦行林に入りました」
紳士の言葉に男はハッとした。
自分が感じていたことそのものを言い当てていたからだ。
「ですが...」
紳士はつづけた。
「それだけでしょうか?」
え!
男は思わず顔をあげ、紳士を観た。
「あなたが禅に惹かれたのは、
ただ苦しみから逃れたいという、それだけでしょうか?」
男はハッとした。
男の中で何かがはじけた。
そしてそれは男の中で輝きだした。
「いえ...いいえ、違います」
「わたしは...向こう側を観てみたいのです!」
「見たことのない地平を、この目で見てみたいのです!」
力強い言葉だった。
男自身が自分の言葉に感動し、勇気づけられる気がした。
そうだ!わたしは向こう側を観てみたいのだ!
観ずに死ねないくらい...好奇心がっ。
そう!好奇心がわたしを突き動かしているんだ!
男は自らの中に明るい光が輝きだすのを感じた。
つづく。
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