浜田義之

【074】酒と悟り 第弐夜 なによりも大事な「なにか」

2020/5/ 8配信


こんばんは、あなたの目覚めへと導くガイドの
マスターこと浜田義之です。



毎週金曜日の21時にお送りする、
本当の自己への目覚めへと導く物語。


 



先週は第一話をお送りしました。


 



バーのカウンターで不思議な紳士に出会った男は、
紳士の言葉から、自分の中のなにかが目覚め始めたのを感じました。


 



今夜は第二話をお送りします。


 


 


第一話はこちら
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酒と悟り 第弐夜 なによりも大事な「なにか」


 



そういえばいつからだろう?


 


自分が「とても大事なこと」を忘れてしまったことに気づいたのは。


 


ウィスキーグラスを眺めながら男は思った。


 


 


大事なこと。
とても大事なこと。
とてもとても大事なこと。


 


 


どんなことよりも、なによりも大事なこと。


 


そしてその大事なものは、自分だけじゃなく、
誰にとっても本当は、なによりも大事なことなのだ。


 


だけどその大事なものが、なにかがわからない。


 


なにかを求めているのに、それがなにかがわからないのだ。


 


 


男は自分がいつからか、大事ななにかを探し求め始めたことに気が付いた。
そしてそれがなにかがわからないことに、今気づいたのだ。



 


男は店内を見回した。


 


談笑する人々。


 


彼らもまた、なによりも大事なことを忘れている。


 


だけど大事ななにかを、忘れているということを忘れている。


 


心の奥底で、なによりも大事なことがあることを知っているのだけど、
そのことを忘れているということを忘れているのだ。


 


 


だけどどんなに忘れてしまっていても、
大事ななにかがあるということを、誰もが本能的に感じている。


 


頭(顕在意識)ではわかっていなくても、心の奥底で、
忘れてしまった大事なものを思い出したい、
見つけたいという思いを本能的にどこかで感じているのだ。


 


だけど頭ではそのことがわからない。
気づいていない。


 


だから他のなにかで必死に補おうとする。


 


 


忘れてしまった「なにか」、
見失ってしまった「なにか」の代わりになるものを求め続けているのだ。


 


それはお金だったり、人からの賞賛だったり、
自分の正しさを証明することだったり、
生きがいを感じさせてくれそうななにかだったりする。


 


だけどなにを持ってきても、求める心は落ち着きはしない。


 


だから実現したり、手に入れたりしてもしばらくしたら色褪せ、飽きてしまう。


 


「これだと思ったけど、これじゃなかった」となってしまう。


 


なにを持ってきても、
それは見失ってしまった「なにか」の代わりにはなりえないことを、
本能は知っているからだ。


 


 


男は気づいてしまった。


 


自分が「なにか」をずっと探し求め続けていることを。
そしてその「なにか」がなんなのかがわからないということを。


 


多くの人々はまだ、そのことを思い出さないようにしていることを。


 


だって気づいてしまったら、
もう他のことでは満たされないことを知ってしまうからだ。


 


 


だけど男はそのことに気づいてしまった。


 


自分の魂が、大切なことを、なによりも大切なものを
思い出そうとしていることに気づいてしまったのだ。


 


 


「お探し物ですか?」


 


マスターの声に男はハッと顔を上げた。


 


マスターはフルートグラスを磨きながら、微笑んでいた。



 


「わたしはなにかを探しているのです」
「それは大切な大切なものなんです」
「なにを持ってきても代わりになどなりえない大切なものです」
「だけどそれがなにかが分からないのです」


 


 


男はなぜ、こんな話をマスターにしているのか、自分でちょっと驚いた。


 


だけど口が自然にマスターに話しかけた。


 


そしてそれが本来のとても自然なことなのだと、男はどこかで知っていた。


 


 


「なにかを探しているのだけど、それがなにかが分からない...
わたしの好きな映画に同じセリフがあるのを思い出します」


 


 


マスターはそう言った。


 


「なぜ、わたしがなにかを探していると思われたんですか?」


 


男はマスターに問いかけた。


 


「なぜでしょう(笑)」
「わたしも同じ思いを持ったことがあるからかもしれません」


 


 


「マスターも?」
「マスターはその「なにか」を見つけられたんですか?」


 


マスターはなにも言わずにっこり微笑んだ。


 


 


「ところで...」


 


男は少しためらいながら、話し始めた。


 


「先ほどわたしの隣にいらした紳士、
はじめてお見かけしたんですが....」


 


マスターはグラスを磨いていた手を一瞬止めて、男の顔を観た。
そしてまたにっこりとほほ笑んだ。


 


「彼に会われたんですね」


 


会われたもなにも、さっきまでここにいたじゃないかと男の頭に一瞬よぎった。


 


だけどそんな野暮な言葉はすぐに通り過ぎた。
そんなことは全く重要なことじゃないことを感じたのだ。


 


 


「彼に会われたんですね」


 


マスターはもう一度そういうと、親しみを込めた笑みを浮かべた。


 


「彼は誰の前にでも姿を現すわけではありません」
「準備のできたとき、準備のできた人の前にだけ現れるんですよ」


 


「え?」


 


男が目を丸くすると、マスターはこう続けた。


 


「彼と出会ったなら、それは祝福ですよ」
「それは祝福で恩寵なんですよ」


 


マスターはそういうと、もう一度にっこりとほほ笑んだ。


 


第三夜につづく。


 


 



  

 


 



 


 


 



 


 


 


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