田中勝悟
田中勝悟

依存症の正体

2020/1/20配信




皆様


おはようございます。


いかがお過ごしでしょうか?


今年の冬は、めちゃくちゃ寒いという感じはなく、変な感じだなあと思います。


最近、ようやく「クオリティ」第2期の準備に取り掛かりました。


また、2月ごろに「クオリティ」のご案内をブログやメルマガでお伝えできるかと思います。








依存症の正体


最近、下記の本を読みました。


 










依存症 (文春新書) [ 信田 さよ子 ]
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信田先生は依存症や家族カウンセリングの専門家で、カウンセリングを学んでいる人なら一度は聞いたことがある名前かと思います。


上記の本はもう20年以上前の本ですが、今でも「良書」として多くのカウンセラーやカウンセラーの卵が読んでいる本です。


 


私は勉強不足だったので、最近になってやっと読むことができました。


 


読んでみての感想ですが、本当に面白くて、かなり勉強になりました。


 


信田先生が若い頃にカウンセリングの現場に踏み込んで、たくさんのアルコール依存症の方と出会ってきた中での苦労や気持ちの揺れ動きがたくさん書かれています。


私自身の若かりし頃、いろんなクライエントから学んだことや気づかされたことと重なることも多く、「わかる、わかる」と大きくうなずいてしまいました。


 


この本では依存症についていろんな視点から書かれています。


特に「依存症は人間関係障害である」という考え方は、かなり共感しました。


 


依存症とは、「手段」と「目的」が入れ替わっている状態です。


どういうことかといいますと、例えばアルコールで考えてみましょう。


最初は人づきあいをよくするため、仕事の緊張をほぐすため、一日の中でほっとする時間を作ることで明日頑張るため・・・と、人生をよくするための「手段」としてアルコールを飲むという行動が選択されます。


アルコールの作用は、緊張の緩和と、理性をマヒさせることで快の感情と生理反応を得ることです。


しかし、飲み続けていく内に、アルコールによる快感を得ることが「目的」となってきます。


要するに人生をよりよくするための手段として飲んでいたアルコールが、だんだんとアルコールを飲むことが人生の生きがいとなってしまうようになります。


人生のためのアルコールが、アルコールのための人生になってしまうということ。


これが手段と目的が入れ替わってしまっている状態です。


そして体を壊しても、人生に支障が出るようなことになったとしても、アルコールを常に飲み続けないといけないような状態になってしまうことがアルコール依存症だということです。


 


依存症はアルコール以外にも、ギャンブルや買い物、リストカット、摂食障害、そして暴力などがあります。


 


依存症が人間関係障害と考えられる理由については、周りの人を依存症の嗜癖行動を維持する手段としてしか見れなくなることが挙げられます。


例えば、奥さんと楽しい時間を一緒に過ごすためのアルコールだったのに、だんだんとお酒を飲む行為を続けるために奥さんを利用しだすようになります。


簡単な例を挙げると、奥さんに「お酒を買ってくるように」言い、奥さんが断ると暴言や暴力をいうような状態です。


より良い人間関係は私たちが幸せになる最も大切な手段です。


しかし、依存症の人は相手を自分の欲求だけを満たす手段としてみるようになります。


 


グラッサーは「私たちは外的コントロール依存症」だと言っています。


外的コントロールは私たちの欲求を満たすためだけに、相手をコントロールしようとする考え方や行動を指します。


がみがみ言ったり、責めたり、罰したりすることで、相手を自分の思い通りにコントロールしようとします。


その結果、人間関係は破綻し、当人は一層外的コントロールを使うようになります。


それが私たちの不幸の一番の原因だとグラッサー博士は言っています。


 


信田先生の本でとても興味深かったことは、「その人の行動をすべて理解して肯定するとだんだん依存症が治ってくる」ということです。


正確には、依存症特有の嗜癖行動が減ってくるようになるということです。


その理由として、依存症行動や問題行動は自責の念や自分がうまくいっていないという欲求不満感を何かの形で補おうとするために生じるので、欲求が満たされていないという感じがなくなってくると自然と依存症の嗜癖行動をする理由がなくなってくるからではないかと信田先生は考えています。


 


実は、これは選択理論の説明を全く同じです。


人は欲求を満たすためにいろんな行動を選択します。


問題行動も同じです。


そして欲求を満たすために、別のやり方が見えてくると、自然と問題行動は減ってくると説明しています。


その根底にある大切なことは、よりよい人間関係です。


 


信田先生の依存症のメカニズムや治療法は、非常に選択理論に似ています。


グラッサーや選択理論を知っていたかどうかはわかりません。


ただ、信田先生の考え方は、カウンセリングを学ぶ人や人間関係で悩んでいる人たちに大きな示唆を与える本だと思います。


今の世の中、物が豊かになり、そして人間関係を築かなくても自身の欲求を満たすやり方はたくさん生み出されています。


その分、人間関係が希薄なり、ギャンブルやSNS、ゲームなどいろんなものに依存的となってしまい、一層人間関係が持てなく苦しんでいる人は多いと思います。


ちなみに、不登校や引きこもりの人でもゲームやスマホなどに依存してしまい、一層社会と隔絶されている人も少なくありません。


そうした人たちを支える方法を身に着けていくためにも、信田先生の「依存症」ぜひ読んでおきたい一冊であるといえます。


 













お勧め情報



 選択理論心理学会 神戸支部研究会
選択理論心理学の勉強会を行っています。
2時間30分で1000円と、超お得な勉強会です。

神戸三宮勤労会館で開催しています。

内容は講義とロールプレイです。講義は質疑応答を進めながら、ワーク形式で学ぶことができます。

主婦やサラリーマンから、鍼灸師・看護師・ケースワーカー・カウンセラーまで、幅広い方が参加されています。どなたさまの参加も大丈夫です。
最近はキャリアコンサルタントの方が多くみられるようになってきました。

次回の開催予定
1月26日(日) 9:30~12:00
2月23日(日) 9:30~12:00

しばらくは、グラッサーが最後に書いた本、「テイクチャージ」を中心に選択理論心理学のエッセンスを学んでいきます。

 不登校グループワーク「クオリティ」


選択理論心理学を学ぶことで不登校のお子さんのより良い関わり方を身に着けていくワークです。残り3回ですが、途中からの参加もお待ちしています。


4回目 1月25日(土) 10:00~12:00
5回目 2月15日(土) 10:00~12:00
6回目 2月29日(土) 10:00~12:00

大阪市福島区民センターで開催しています。
部屋は開催日により異なりますので、↑のURLからご確認ください。


3/7  発達障害セミナーin大阪
↑発達障害についてお話をするセミナーです。

不登校・引きこもり改善ブログ


不登校専門カウンセラーのブログ
 新しく作成したブログです。読み応えありで、不登校でお困りの方必見のブログです。






終わりに















今週の土曜日と日曜日は、グループワーク「クオリティ」と、神戸支部研究会が開催されます。


クオリティでは、今回は「外的コントロールと内的コントロール」を。


神戸支部研究会では、「薬物依存」についてお話をさせていただきます。


また、神戸支部研究会の後は、高槻に行って事例検討会に出席する予定です。


臨床家は実践も大切ですが、それ以上にインプットも非常に大切です。


今年はさらに勉強して、知識やスキルを研鑽して、さらに多くの人に与えられるようなカウンセラーに成長を続けたいと思います。


ちなみに、「クオリティ」と研究会は残席ありますので、どうぞお気軽にご参加ください。


上記のリンクから簡単に予約申し込みができますよ。


 



ここまで読んでいただいて本当にありがとうございました。

また、来週のこの時間にメルマガを送らせていただきます。


 


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イベント・セミナーのご案内



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